2016年11月17日

J流横歩取らせ 7七桂型

今回は基本図から先手が▲7七桂[1]としてきた場合を解説します。

[1]
{-200 後手やや良いか?}
*{}内はgpsfishの評価値で+なら先手、-なら後手が良いことを示す

▲7七桂は▲6六歩よりも積極的な方法で角道を止める意味ですね。
このあと▲6五桂と跳ねたり、▲6六歩〜▲6五歩などの狙いもあるかもしれません。

ただこの手は桂頭のキズを常に気にしないといけない点や、
先手の角が使いづらい点が気になり、gpsfishの評価も低い形です。

極論後手は7六飛と1歩を取り返し、7六歩とそこに打つ形になれば勝ちになります。
そこで先手の指し手がかなり限定的になり、後手に自由度の高い駒組みをされる可能性が高いです。

▲7七桂以降は△6四銀▲4五飛[2]が考えられる進行。


[2]
{-200}

△6四銀に先手は▲2五飛と▲4五飛の逃げ場所がありますが、
▲2五飛には△4四角[3]とされ、2六に引けなくするのが好手で、
結局もう一度飛車を動かさないと7六の歩を守ることができません。

[3]

これは△4四角をゼロ手で指されているので損になります。

たとえば△4四角に▲2八飛ですと、△7二飛[4]ですでに先手不利です。

[4]
{-400以上で後手有利}

よってはじめから▲4五飛と逃げるのが本筋。
そこから後手は△3三角[5]などと指し、以降△2二銀などで囲いに行きます。

[5]
{-200程度で後手指しやすいか}

先手は7六の歩を守りながらの駒組みになりますが、
正直指し方が非常に難しく、あまりオススメ出来る展開ではありませんね。

最後に一つ面白い筋があるのでご紹介します。
このあと先手も桂頭をケアするために銀冠などを目指すとどうなるか。

▲7八銀△4一玉▲8六歩△2四角▲4八銀△3三桂[6]



先手の飛車が結構狭く、先手が変な手を指すと[6]のように簡単に飛車が取られてしまいます。

ということで、
この将棋は後手が相当指しやすいため先手が好んで選ぶ変化ではなさそうです。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再掲です。
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2016年11月16日

J流横歩取らせ戦法オープン型1

前回は基本図まで解説しましたが、
今回は先手が基本図から▲2五飛[1]とした場合の解説をしていきます。

[1]

[1]は飛車を2筋に戻すと同時に、△6四銀と先手で銀を上がらせない効果もあり、
最も自然な手に見えます。

そこで後手は△6四銀[2]と上がります。

[2]

[2]では先手は1歩得しましたが、後手の銀がすでに4段目まで上がっているのに対して、
飛車以外の駒がほとんど動いていない状態です。

これがどれだけ手損なのかを示すために同じ局面になる架空の棋譜を作ってみます。

検証棋譜
▲2六歩 △6二銀 ▲2五歩 △3二金 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2五飛 △7四歩 ▲4八玉 △7三銀
▲5八玉 △3四歩 ▲6八玉 △7五歩 ▲5九玉 △7六歩
▲同 歩 △6四銀[2]

後手が7筋の歩を突き捨てたと考えれば、
先手は4八〜5八〜6八〜5九と4手かけて同じ場所に玉を戻したのと同じ局面になります。

私にはこれで先手が良いとは思えないのですが、いかがでしょうか。

さてここで先手がどう指すか。
実戦で先手が最も指してくる手は▲7八金[3]ですね。



角がにらみ合っているので、角交換などに備える普通の手に見えます。
が、この手は後手の思う壺なんですね。

以下、
△8八角成▲同銀△1四角[4]が成立します!

[4]

この手を見つけた時は非常に興奮したのを覚えていますね。
普通はこんな角打ちは成立しないのですが、後手の△6四銀型がうまく生きるのです。

先手が馬を作らせないように抵抗すると以下のようになります。

▲4五飛△3三桂▲4六飛△5五銀!▲3六飛△同角▲同歩[4`]

[4`]
{+100弱だが互角}
*{内はgpsfishの評価値}

[4`]では後手が1歩損していますが、飛車を手持ちにしているので楽しみも多いと思います。
先手は飛車打ちのスキを作らずに駒組みをするので結構苦労しそうですね。
ここでの5五銀はいままでにない筋だと思うので、
初見ではほとんどの人がすんなり馬を作らせてくれます。

よって飛車を渡さないために[4]では単に▲2八飛としますが、
△4七角成▲4八銀△7四馬[5]

[5]
{+-50以内で互角}
となり、歩損回復で馬が消せない上にけっこういいポジションのため、
後手が互角以上だと思います。

ということで[2]の局面では4七の地点を受けるか、角道を止めるか、飛車を逃がすかが有力です。
角道を止める▲6六歩や▲7七桂はオープン型以外に合流することになります。

▲2八飛は手損が大きすぎるとは思いますが、gpsの評価はほぼ互角で、
後手が手得を生かして先行できるかが焦点になり研究課題です。
7筋の歩がないので後手から手をつくるのがそう簡単ではないのですね。

▲4八銀や▲3八金などと4七の地点を受けた場合は、
△7二飛[6]と寄り、7六の歩を狙います。

[6]
先手はこの歩が受けづらいんですよね。

▲2六飛では、△8八角成▲同銀△4四角[7]となり、
飛車を取られるのは痛いでしょう。

[7]

また▲8五飛と回って8三飛成を狙うのは、△8四歩[8]で受かります。

[8]

▲同飛ならば△8八角成▲同銀△9五角[9]で、
やはり飛車が取られるのは痛いですね。

[9]

よって後手は7六の歩を取り返すことで歩損を解消し、手得した分だけ有利になるのではないか。
というのが主張になるわけです。

[2]の局面はほぼ互角で、先手は▲2八飛、▲5八玉、▲2二角成などの指し方があり、
どれも一局の将棋だと思います。

J流横歩取らせではほとんどの変化が互角であり、
そこが正統派な戦略である証ではないかと思っています。
今回紹介した中で後手が良さそうというのも実際はほぼ互角の形勢であり、
お互いに力が出し合える将棋になることが多い戦法だと思います。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再編集版です。
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2016年11月15日

J流横歩取らせ戦法(基本図まで)

この戦法は先手の初手が▲7六歩の時に有効な後手番の作戦です。
▲2六歩だと同じ狙いでは指せないですが、研究すれば応用可能かもしれません。

想定手順 ▲7六歩△6二銀▲2六歩△7四歩[1]▲2五歩△3二金

[1]


2手目では△7二銀もありますが、先手が振り飛車にしてきた場合に6二銀の方が手広い意味があります。
またこの戦法は先手が居飛車できた時のもので、振り飛車の場合はまた別の作戦で戦うことになります。

この戦法の特徴は[1]で△7四歩と突いてしまうことにあります。
通常、この歩は突いてはいけないはずです。
なぜならこの後、▲2五歩△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲7四飛[2]とされ、すぐに取られてしまうからです。

[2]

しかしこの手順こそが後手の狙いであり、
ここから先手の指し方次第でいろいろな戦いになっていきます。

[2]以下、
△7三銀▲7五飛△3四歩[3]

[3](基本図)

△7三銀▲7五飛で後手は1歩損の代わりに△7三銀、さらには△6四銀もほぼ先手で指せるため、
実質2手得することができます。

[2]のタイミングで△3四歩と突くのがポイントで、
角交換を匂わせることで作戦の幅が広がります。

ここで先手の指し方がいろいろあり、それぞれに後手が対応していくことになるのですが、
その前に気になる変化について解説します。
それは△7三銀に対して▲同飛成△同桂▲5五角[2`]の変化です。

[2`]

実戦でこれをやってきた人はいませんが、結構怖い変化ですね。
正しく対応しないとすぐに形勢を損ねそうです。
ただ、これはおそらく無理筋で以下対応を紹介します。

△7二金▲7五歩△2五飛▲4六角△7五飛[3`]

[3`]

△7二金の受けに▲7五歩が筋。▲7四銀では△3四歩くらいで攻めが続きません。
そこで△2五飛から7五の歩を取れば先手の攻めが細く、駒得の後手が優勢になりそうです。
{-300〜400}
*{}内はgpsfishの評価値で+ならば先手、-ならば後手の形勢が良いことを示します。

また▲5五角では▲7五歩[3``]もありますが、
以下、△6五桂▲5五角△7二飛▲9一角成△3四歩▲6六香△5七桂不成[4``]
といった展開が予想され、桂馬がさばけた後手が良さそうです。
{-500以上}

[4``]

再掲
[3]

さて本題に戻り、[3]の局面で先手が指してくることが多い手は4通りあり、
(1)▲2五飛(オープン型)(2)▲6六歩(クローズ型)(3)▲7七桂(4)その他(▲5八玉など)
が挙げられます。

次回以降ではそれぞれの場合にどういう進行になるか書いていこうかと思います。

ちなみに先手が2筋の歩交換をしない場合は、
後手は△7三銀〜△6四銀とスムーズに早繰り銀の態勢が作れるため、
かなり積極的に攻めることができます。
この後先手が棒銀でくる場合は角道を開け、
角交換してから△2五桂と跳ねる指し方が有力です。

この指し方はPonanzaが得意としており、
Ponanzaは先に8筋の歩を突いてから7筋の歩を取らせる指し方が多いですね。
ただ私自身は8筋の歩は先につかない方が△7二飛や△6二飛など回りやすい(8三角打がない)、
など作戦の幅が広いと思っています。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」2016.4.16の再編集版です。
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