2016年11月18日

J流横歩取らせクローズ型1

今回は基本図から先手が▲6六歩[1]と角道を閉じた場合を解説していきます。

[1]

この手は先手が角道を止めることで局面を収めて歩得を主張しようという狙いに見えます。
しかし、実際はオープン型よりも確実に後手が歩損を解消して互角の戦いになりやすい戦型です。

ここで後手は△6四銀[2]と先手で銀を進出します。

[2]

この場合△6四銀と出る手は明らかに手得なので、出ておいたほうが良いでしょう。

そこで先手は▲2五飛が普通の手で、
私は当初そこで△7二飛[3]と寄って7六の歩を狙う指し方を研究していました。

[3]

この局面では7六の歩を直接受ける手はないのですが、
▲6五歩[4]と反発する手があります。

[4]

以降、△7三銀▲7八金△4二玉▲3八銀△6二飛[5]

[5]

といった感じで伸びてきた6五の歩を争点にする指し方が有力で、
割といい勝負が出来ていました。

しかし[3]の局面では決定的な対策があったのです。
それは▲8五飛[6]です。

[6]

オープン型と違い角交換出来ない為、△8二飛と戻ることになり、
以下▲5八金右△8四歩▲2五飛△7二飛▲6七金[7]となり、
歩がぴったり受かってしまいます。

[7]
{+300程度で先手優位}
*{}内はgpsfishの評価値で+なら先手、-なら後手が良い

非常に細かい手なのですが、▲8五飛は一手を稼ぐ手筋です。
こういった感じで好形で歩を守られると後手は完全に作戦負けに陥ります。

しかしこの将棋はそう簡単ではありませんでした。
[3]の局面では△3三桂[8]が異筋ながら容易ならざる手です。

[8]

後手は角が使えなくなりますが、
とにかく飛車の横効きを消して7六の歩を取りに行くのが大事です。

以下、▲2八飛△7二飛▲7八飛[9]となり、歩が受かっているように見えますね。

[9]

ただこれは後手の狙い通りの進行なのです。
ここで△7四飛[10]が狙いの一手。ここぞとばかりにノータイムで指したいですね笑。

[10]
{+-50以内の互角}

後手の狙いは次に△8四飛として8七飛成を狙う手です。
先手が形よく受けようとするとどうなるでしょうか。

△6八銀▲8四飛△7七飛▲4五桂△6七飛▲6五銀[11]

[11]
{-1000程度で後手大優勢}*{}内はgpsfishの評価値で+なら先手、-なら後手が良い

こうなれば先手潰れ形で早くも後手大優勢となります。
もちろんこれはうまくいった例ですが、
後手は△8四飛、△4五桂、△5五銀などを組み合わせて先手に襲い掛かり、
先手は受け一方の展開になるため、後手として不満はない進行になりそうです。

この7八飛受けの形はクローズ型で相当高い確率で登場するので、
後手としては深く研究しておいたほうが良いですね。
形勢的にはほぼ互角ですが、後手が攻勢を取れるので先手としては不満な気もします。

そこで先手も△3三桂以下、7六の歩を取らせて指すなどの色々な戦い方が今後の研究課題となりそうです。

クローズ型のポイントは[8]の局面で△3三桂と跳ねること。
[8]
以下、先手が7八飛受けの形ならば△7四飛[10]とすっと浮いて攻めの態勢を築くことになります。

[10]
{+-50以内の互角}

[10]の局面はほぼ互角ですが、先手潰れ形がいくつかあり、
先手としてはしっかり研究しないとすぐに潰される危険性もあります。
逆に後手は十分に研究して臨めば優位に戦いを進めることが出来るでしょう。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再掲です。
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2016年11月17日

J流横歩取らせ 7七桂型

今回は基本図から先手が▲7七桂[1]としてきた場合を解説します。

[1]
{-200 後手やや良いか?}
*{}内はgpsfishの評価値で+なら先手、-なら後手が良いことを示す

▲7七桂は▲6六歩よりも積極的な方法で角道を止める意味ですね。
このあと▲6五桂と跳ねたり、▲6六歩〜▲6五歩などの狙いもあるかもしれません。

ただこの手は桂頭のキズを常に気にしないといけない点や、
先手の角が使いづらい点が気になり、gpsfishの評価も低い形です。

極論後手は7六飛と1歩を取り返し、7六歩とそこに打つ形になれば勝ちになります。
そこで先手の指し手がかなり限定的になり、後手に自由度の高い駒組みをされる可能性が高いです。

▲7七桂以降は△6四銀▲4五飛[2]が考えられる進行。


[2]
{-200}

△6四銀に先手は▲2五飛と▲4五飛の逃げ場所がありますが、
▲2五飛には△4四角[3]とされ、2六に引けなくするのが好手で、
結局もう一度飛車を動かさないと7六の歩を守ることができません。

[3]

これは△4四角をゼロ手で指されているので損になります。

たとえば△4四角に▲2八飛ですと、△7二飛[4]ですでに先手不利です。

[4]
{-400以上で後手有利}

よってはじめから▲4五飛と逃げるのが本筋。
そこから後手は△3三角[5]などと指し、以降△2二銀などで囲いに行きます。

[5]
{-200程度で後手指しやすいか}

先手は7六の歩を守りながらの駒組みになりますが、
正直指し方が非常に難しく、あまりオススメ出来る展開ではありませんね。

最後に一つ面白い筋があるのでご紹介します。
このあと先手も桂頭をケアするために銀冠などを目指すとどうなるか。

▲7八銀△4一玉▲8六歩△2四角▲4八銀△3三桂[6]



先手の飛車が結構狭く、先手が変な手を指すと[6]のように簡単に飛車が取られてしまいます。

ということで、
この将棋は後手が相当指しやすいため先手が好んで選ぶ変化ではなさそうです。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再掲です。
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2016年11月16日

J流横歩取らせ戦法オープン型1

前回は基本図まで解説しましたが、
今回は先手が基本図から▲2五飛[1]とした場合の解説をしていきます。

[1]

[1]は飛車を2筋に戻すと同時に、△6四銀と先手で銀を上がらせない効果もあり、
最も自然な手に見えます。

そこで後手は△6四銀[2]と上がります。

[2]

[2]では先手は1歩得しましたが、後手の銀がすでに4段目まで上がっているのに対して、
飛車以外の駒がほとんど動いていない状態です。

これがどれだけ手損なのかを示すために同じ局面になる架空の棋譜を作ってみます。

検証棋譜
▲2六歩 △6二銀 ▲2五歩 △3二金 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2五飛 △7四歩 ▲4八玉 △7三銀
▲5八玉 △3四歩 ▲6八玉 △7五歩 ▲5九玉 △7六歩
▲同 歩 △6四銀[2]

後手が7筋の歩を突き捨てたと考えれば、
先手は4八〜5八〜6八〜5九と4手かけて同じ場所に玉を戻したのと同じ局面になります。

私にはこれで先手が良いとは思えないのですが、いかがでしょうか。

さてここで先手がどう指すか。
実戦で先手が最も指してくる手は▲7八金[3]ですね。



角がにらみ合っているので、角交換などに備える普通の手に見えます。
が、この手は後手の思う壺なんですね。

以下、
△8八角成▲同銀△1四角[4]が成立します!

[4]

この手を見つけた時は非常に興奮したのを覚えていますね。
普通はこんな角打ちは成立しないのですが、後手の△6四銀型がうまく生きるのです。

先手が馬を作らせないように抵抗すると以下のようになります。

▲4五飛△3三桂▲4六飛△5五銀!▲3六飛△同角▲同歩[4`]

[4`]
{+100弱だが互角}
*{内はgpsfishの評価値}

[4`]では後手が1歩損していますが、飛車を手持ちにしているので楽しみも多いと思います。
先手は飛車打ちのスキを作らずに駒組みをするので結構苦労しそうですね。
ここでの5五銀はいままでにない筋だと思うので、
初見ではほとんどの人がすんなり馬を作らせてくれます。

よって飛車を渡さないために[4]では単に▲2八飛としますが、
△4七角成▲4八銀△7四馬[5]

[5]
{+-50以内で互角}
となり、歩損回復で馬が消せない上にけっこういいポジションのため、
後手が互角以上だと思います。

ということで[2]の局面では4七の地点を受けるか、角道を止めるか、飛車を逃がすかが有力です。
角道を止める▲6六歩や▲7七桂はオープン型以外に合流することになります。

▲2八飛は手損が大きすぎるとは思いますが、gpsの評価はほぼ互角で、
後手が手得を生かして先行できるかが焦点になり研究課題です。
7筋の歩がないので後手から手をつくるのがそう簡単ではないのですね。

▲4八銀や▲3八金などと4七の地点を受けた場合は、
△7二飛[6]と寄り、7六の歩を狙います。

[6]
先手はこの歩が受けづらいんですよね。

▲2六飛では、△8八角成▲同銀△4四角[7]となり、
飛車を取られるのは痛いでしょう。

[7]

また▲8五飛と回って8三飛成を狙うのは、△8四歩[8]で受かります。

[8]

▲同飛ならば△8八角成▲同銀△9五角[9]で、
やはり飛車が取られるのは痛いですね。

[9]

よって後手は7六の歩を取り返すことで歩損を解消し、手得した分だけ有利になるのではないか。
というのが主張になるわけです。

[2]の局面はほぼ互角で、先手は▲2八飛、▲5八玉、▲2二角成などの指し方があり、
どれも一局の将棋だと思います。

J流横歩取らせではほとんどの変化が互角であり、
そこが正統派な戦略である証ではないかと思っています。
今回紹介した中で後手が良さそうというのも実際はほぼ互角の形勢であり、
お互いに力が出し合える将棋になることが多い戦法だと思います。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再編集版です。
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