2016年11月20日

J流横歩取らせ 5八玉型

今回は基本図から先手が▲5八玉[1]とした場合を解説します。

[1]

▲5八玉はバランスのとれた構えで、オープン型での△1四角や△9五角の筋を消しています。

たとえば[1]から△6四銀▲2五飛△7二飛には▲8五飛[2]が嫌味で、
また△8二飛と戻るようでは一手稼がれてしまいます。

[2]

また[1]から△6四銀▲2五飛△3三桂とクローズ型のように指すと、
▲2六飛△7二飛[3]となり、7六の歩を先受けされているので後手面白くありません。
それに先手の角だけが使えているのも不満ですね。

[3]

ということで、この▲5八玉は指してくる人はほぼいませんが、
結構有力な対策のように思います。

しかしこの手は飛車を2筋に戻らず、角道も止めないということで、
結構ガンバった指し方なんですね。
そこで後手もかなりガンバった指し方が求められます。

[1]に対しての私の今の対策は△2四歩[4]です。

[4]

この手には先手の飛車を一手で2筋に戻らせない意味と、
後で銀冠などに囲う狙いがあります。

実はこの△2四歩[A]は以前Ponanzaがfloodgateで似たような形で指した手で、
なかなか有力なのではないかと思っています。

[A]
Ponanzaの場合は8筋の歩を先に突いているところなどが違いますが、
7四の歩を取らせて7三銀とあがる筋をけっこう指しています。

この将棋はこのあとPonanzaが△2三金!とあがって力戦系から勝利しています。

参考棋譜 ▲Adad vs △Ponanza



*棋譜表示にはフラ盤および棋譜ぺったんを利用させていただいてます。

100〜102手目の△5七銀不成〜4六銀成[B]が痺れる手順ですね。
▲4三角成と詰めろをかけると△2七桂以下、先手玉が詰んでしまうんです。
いやぁ、Ponanza強すぎます。

[B]


さて話を戻しまして、[4]の局面で一番気になる手は▲2五歩[5]でしょう。

[5]

△同歩では▲同飛で△2四歩の意味が消えてしまいます。
そこでここでは△6四銀[6]とする一手。

[6]

この局面はすでにのっぴきならないことになっていて、
仮に先手が▲4五飛と逃げたなら△8八角成▲同銀△3三桂▲4六飛△2五歩[6`]となり早くも後手ペースになります。

[6`]
{-500程度で後手優勢}
*{}内はgpsfishの評価値。+なら先手、-なら後手が良いことを示す。

けっきょく飛車が2筋に戻れない上に2五歩まで取られては大損です。

よって[6]には▲2四歩[7]と踏み込みます。

[7]

もうどちらも退けずここから決戦となります。
私の研究では以下、△7五銀▲同歩△8八角成▲同銀△7二飛[8]で後手が指しやすいという見解です。

[8]
{200〜300程度で後手指しやすい}

△8八角成が大事な手で、△7二飛に▲5五角△7五飛▲9一角成に△7八飛打[8`]を用意しています。

[8`]
{-1200程度で後手大優勢}

よって[4]の局面で▲2五歩は指しづらいのではないでしょうか。

ここでは代わる手が広いわけですが、
方針としては先手が▲4五飛〜▲4六飛と飛車を安定させてから攻めを狙う。
後手は△2四歩を生かして銀冠に囲う。といったところでしょうか。
この戦型は後手が堅く囲って先手が中住まいから攻めていくという展開になりやすそうです。

先手が5八玉型できたときは△2四歩[4]とし、

[4]
{+-50以内の互角}

以下、先手は飛車を安定させてから攻めに転じる。後手は銀冠を作り玉を堅く囲う。
という展開が予想され、ほぼ互角の進行になります。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再掲版です。
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2016年11月19日

J流横歩取らせクローズ型2

前回はこちら

クローズ型で△3三桂に先手が▲2六飛(2八飛でも)と引いた場合、
後手は△7二飛と7六の歩を狙いますが、そこで▲6五歩△同銀▲5五角[1]としてくることがよくあります。
とくに2六飛型だと7六の歩を直接受けることが出来ない為、
6五歩の突き出しから角を飛び出す展開にする人が多いですね。

この変化は大変な急戦になりますが、後手の方が指しやすいというのが私の見解です。

[1]

[1]の局面は香取りになっていますから、
それをどうにかしないといけません。
しかし△9二飛や△7三桂はすこし元気がなくやる気がしません。
そこで思い切って△4五桂![2]と跳ねるのが私の研究です。

[2]

▲2二角成などは先ほどの一手がパスになってしまうので、▲9一角成[3]の一手。

[3]

後手は先に香損しますが、5七桂不成と金の両取りをかける手が権利としてあるのが大きいです。

[3]に対し後手は△9九角成[4]と香車を取り返します。

[4]
{-500程度で後手優勢}
*{}内はgpsfishの評価値で+なら先手、-なら後手が良い

ここで先手の手がいろいろありますが、
実戦でもっとも多いのは▲8一馬と桂馬を取って、
さらに飛車取りに当ててくる手ですね。
プレッシャーが強いですが、ここで飛車を逃げるとどんどん攻められてしまうので、
放置して△5七桂不成[5]と金の両取りをかけます。

[5]

後手は金を確実に入手できるので攻め幅が広いですが、
先手は桂香はあっても飛車を取って打つくらいしか攻め筋がありません。

例えば▲7二馬△同金▲9一飛△7一歩▲7五香には△5五馬[6]のように完封できます。

[6]

[4]の局面で先手が指すとすれば、
5七桂不成を受ける▲6八銀ですが、
△8九馬▲8一馬△5四香[7]などと進み、
先手の玉頭を攻める感じで後手が良くなります。

[7]
{-600程度で後手優勢}
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2016年11月18日

J流横歩取らせクローズ型1

今回は基本図から先手が▲6六歩[1]と角道を閉じた場合を解説していきます。

[1]

この手は先手が角道を止めることで局面を収めて歩得を主張しようという狙いに見えます。
しかし、実際はオープン型よりも確実に後手が歩損を解消して互角の戦いになりやすい戦型です。

ここで後手は△6四銀[2]と先手で銀を進出します。

[2]

この場合△6四銀と出る手は明らかに手得なので、出ておいたほうが良いでしょう。

そこで先手は▲2五飛が普通の手で、
私は当初そこで△7二飛[3]と寄って7六の歩を狙う指し方を研究していました。

[3]

この局面では7六の歩を直接受ける手はないのですが、
▲6五歩[4]と反発する手があります。

[4]

以降、△7三銀▲7八金△4二玉▲3八銀△6二飛[5]

[5]

といった感じで伸びてきた6五の歩を争点にする指し方が有力で、
割といい勝負が出来ていました。

しかし[3]の局面では決定的な対策があったのです。
それは▲8五飛[6]です。

[6]

オープン型と違い角交換出来ない為、△8二飛と戻ることになり、
以下▲5八金右△8四歩▲2五飛△7二飛▲6七金[7]となり、
歩がぴったり受かってしまいます。

[7]
{+300程度で先手優位}
*{}内はgpsfishの評価値で+なら先手、-なら後手が良い

非常に細かい手なのですが、▲8五飛は一手を稼ぐ手筋です。
こういった感じで好形で歩を守られると後手は完全に作戦負けに陥ります。

しかしこの将棋はそう簡単ではありませんでした。
[3]の局面では△3三桂[8]が異筋ながら容易ならざる手です。

[8]

後手は角が使えなくなりますが、
とにかく飛車の横効きを消して7六の歩を取りに行くのが大事です。

以下、▲2八飛△7二飛▲7八飛[9]となり、歩が受かっているように見えますね。

[9]

ただこれは後手の狙い通りの進行なのです。
ここで△7四飛[10]が狙いの一手。ここぞとばかりにノータイムで指したいですね笑。

[10]
{+-50以内の互角}

後手の狙いは次に△8四飛として8七飛成を狙う手です。
先手が形よく受けようとするとどうなるでしょうか。

△6八銀▲8四飛△7七飛▲4五桂△6七飛▲6五銀[11]

[11]
{-1000程度で後手大優勢}*{}内はgpsfishの評価値で+なら先手、-なら後手が良い

こうなれば先手潰れ形で早くも後手大優勢となります。
もちろんこれはうまくいった例ですが、
後手は△8四飛、△4五桂、△5五銀などを組み合わせて先手に襲い掛かり、
先手は受け一方の展開になるため、後手として不満はない進行になりそうです。

この7八飛受けの形はクローズ型で相当高い確率で登場するので、
後手としては深く研究しておいたほうが良いですね。
形勢的にはほぼ互角ですが、後手が攻勢を取れるので先手としては不満な気もします。

そこで先手も△3三桂以下、7六の歩を取らせて指すなどの色々な戦い方が今後の研究課題となりそうです。

クローズ型のポイントは[8]の局面で△3三桂と跳ねること。
[8]
以下、先手が7八飛受けの形ならば△7四飛[10]とすっと浮いて攻めの態勢を築くことになります。

[10]
{+-50以内の互角}

[10]の局面はほぼ互角ですが、先手潰れ形がいくつかあり、
先手としてはしっかり研究しないとすぐに潰される危険性もあります。
逆に後手は十分に研究して臨めば優位に戦いを進めることが出来るでしょう。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再掲です。
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