2016年11月16日

J流横歩取らせ戦法オープン型1

前回は基本図まで解説しましたが、
今回は先手が基本図から▲2五飛[1]とした場合の解説をしていきます。

[1]

[1]は飛車を2筋に戻すと同時に、△6四銀と先手で銀を上がらせない効果もあり、
最も自然な手に見えます。

そこで後手は△6四銀[2]と上がります。

[2]

[2]では先手は1歩得しましたが、後手の銀がすでに4段目まで上がっているのに対して、
飛車以外の駒がほとんど動いていない状態です。

これがどれだけ手損なのかを示すために同じ局面になる架空の棋譜を作ってみます。

検証棋譜
▲2六歩 △6二銀 ▲2五歩 △3二金 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2五飛 △7四歩 ▲4八玉 △7三銀
▲5八玉 △3四歩 ▲6八玉 △7五歩 ▲5九玉 △7六歩
▲同 歩 △6四銀[2]

後手が7筋の歩を突き捨てたと考えれば、
先手は4八〜5八〜6八〜5九と4手かけて同じ場所に玉を戻したのと同じ局面になります。

私にはこれで先手が良いとは思えないのですが、いかがでしょうか。

さてここで先手がどう指すか。
実戦で先手が最も指してくる手は▲7八金[3]ですね。



角がにらみ合っているので、角交換などに備える普通の手に見えます。
が、この手は後手の思う壺なんですね。

以下、
△8八角成▲同銀△1四角[4]が成立します!

[4]

この手を見つけた時は非常に興奮したのを覚えていますね。
普通はこんな角打ちは成立しないのですが、後手の△6四銀型がうまく生きるのです。

先手が馬を作らせないように抵抗すると以下のようになります。

▲4五飛△3三桂▲4六飛△5五銀!▲3六飛△同角▲同歩[4`]

[4`]
{+100弱だが互角}
*{内はgpsfishの評価値}

[4`]では後手が1歩損していますが、飛車を手持ちにしているので楽しみも多いと思います。
先手は飛車打ちのスキを作らずに駒組みをするので結構苦労しそうですね。
ここでの5五銀はいままでにない筋だと思うので、
初見ではほとんどの人がすんなり馬を作らせてくれます。

よって飛車を渡さないために[4]では単に▲2八飛としますが、
△4七角成▲4八銀△7四馬[5]

[5]
{+-50以内で互角}
となり、歩損回復で馬が消せない上にけっこういいポジションのため、
後手が互角以上だと思います。

ということで[2]の局面では4七の地点を受けるか、角道を止めるか、飛車を逃がすかが有力です。
角道を止める▲6六歩や▲7七桂はオープン型以外に合流することになります。

▲2八飛は手損が大きすぎるとは思いますが、gpsの評価はほぼ互角で、
後手が手得を生かして先行できるかが焦点になり研究課題です。
7筋の歩がないので後手から手をつくるのがそう簡単ではないのですね。

▲4八銀や▲3八金などと4七の地点を受けた場合は、
△7二飛[6]と寄り、7六の歩を狙います。

[6]
先手はこの歩が受けづらいんですよね。

▲2六飛では、△8八角成▲同銀△4四角[7]となり、
飛車を取られるのは痛いでしょう。

[7]

また▲8五飛と回って8三飛成を狙うのは、△8四歩[8]で受かります。

[8]

▲同飛ならば△8八角成▲同銀△9五角[9]で、
やはり飛車が取られるのは痛いですね。

[9]

よって後手は7六の歩を取り返すことで歩損を解消し、手得した分だけ有利になるのではないか。
というのが主張になるわけです。

[2]の局面はほぼ互角で、先手は▲2八飛、▲5八玉、▲2二角成などの指し方があり、
どれも一局の将棋だと思います。

J流横歩取らせではほとんどの変化が互角であり、
そこが正統派な戦略である証ではないかと思っています。
今回紹介した中で後手が良さそうというのも実際はほぼ互角の形勢であり、
お互いに力が出し合える将棋になることが多い戦法だと思います。

※この記事は「Jの詰将棋ブログ」の再編集版です。
posted by J at 22:00| Comment(0) | 横歩取らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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